ホームアプリケーション半導体・電子材料 > 色素増感太陽電池の性能向上

色素増感太陽電池の性能向上


何がわかるのか?

近年、有機半導体を利用した半導体デバイスの研究が盛んに行われ、太陽電池研究開発の分野では、低コスト化を目指した色素増感太陽電池(DSC = Dye-sensitized Solar Cell)が注目されています。この太陽電池を構成する色素単分子吸着ナノポーラスチタニア層/色素/電解質界面の特性は重要です。 チタニアへの色素の吸着などによって酸化チタン層中の電子拡散定数が向上することが知られています。
熱刺激電流測定(Thermally Stimulated Current :TSC)は、試料に電界を加えることにより試料内部や表面および界面に分極や電荷トラップを発生させ、昇温過程でのトラップサイトからの放出(脱トラップ)現象で生じる電流を検出する測定手法です。 一般的な無機半導体材料のみならず、有機系電子材料も対称となり、色素増感太陽電池のチタニア界面における電子トラップの深さや密度などを評価することができます。

測定・解析例

図1は色素増感太陽電池によく用いられる3種類の色素を酸化チタン多孔質膜へ吸着させたときのTSCスペクトルです。色素を吸着させていないBareに較べ、色素を吸着させた試料は0.6eVの電子トラップは完全に消失し、0.1eV程度の浅いトラップも大きく減少することがわかります。 TSC測定法は太陽電池性能を低下する原因となっているチタニア界面電子トラップ分布を評価する手法として重要です。

色素吸着チタニアの熱刺激電流
 図1 色素吸着チタニアの熱刺激電流


ナフィオンのイオンクロマトグラム
 図2 (A)色素・カルボン酸複合体吸着イメージ (B)色素吸着のみ

(データご提供:九州工業大学 大学院生命体工学研究科 早瀬修二教授)

<参考文献>
[1] リガクジャーナル, 38 (2007), No.1, 19-24.

2007年9月掲載