微小、微量試料の定性分析

蛍光X線分析アクセサリを用いた種々の試料の分析
微小、微量試料の定性分析


何ができるのか?

試料が小さかったり微量の場合でも、アクセサリを使うことで試料ホルダへのセットが容易に行えます。
ここでは、プリント基板(電子素子)の端子と河川の堆積物を例にご紹介いたします。

測定例1

1-1 プリント基板(電子素子)の端子

廃品プリント基板の足(接続端子部分)の破片、約1×5mm角の定性分析をおこないました。この結果、Au,Cu,Ni,Co,Sr などが検出されました。

・試料調整
アクリル容器(CatNoRS200,200-1)を用い、ネジ部(直径5mm)に試料片を両面テープで貼り付け、ネジを回して試料位置を試料マスクの面に合わせました。

グラフイメージ
図1-1-1 試料調整

・測定条件
分析元素範囲: 22Ti~92U
測定時間  : 15min.
試料スピン : OFF
試料マスク径: 10mm
測定雰囲気 : 真空

・測定結果および考察
検出元素  : Au,Cu,Ni,Co,Fe, Sr (RhはX線管からのスペクトルです)

ブランクテスト(試料容器のみの測定)では微量のNi,Feが検出される程度ですので,上記の元素はすべて試料から検出されています。Srはプリント基板の高分子材料から検出されたものと思われます。紙面 の都合で記載していませんが,軽元素関係ではCa,K,Cl,S,Si,Alなどが検出されています。

グラフイメージ
図1-1-2 プリント基板端子の定性分析

測定例2

1-2 河川堆積物(NBS1646)

10mg程度の粉末試料を分析後粉末のまま回収する方法として,河川堆積物について真空雰囲気で定性分析を行いました。この結果 ,Zr,Sr,Rb,Brなど21の元素が検出され,Cu,Ni,Cr等の数十ppmの元素も明らかに検出されました。測定後,試料はほぼ全量 回収できました。

・試料調整
1-1の場合と同様にネジの先端に両面テープを貼り,試料粉に押し付けて試料を付着させ測定することもできますが,測定後の試料を回収するためSW型微量 試料容器(Cat.No.RS1340)を使用しました。試料量は約10mgです。

グラフイメージ
図1-2-1 試料調整

試料容器の上に薄膜(6μmポリプロピレン)を置き容器の内周にピンホールを2ケ所開けます。次に,試料を中心部に置きその上から薄膜(厚さ1.5ミクロンマイラー)を被せ試料容器蓋で固定します。試料は薄膜でサンドイッチ状態になります。ピンホールは薄膜間の空気を抜くためです。また,試料表面 の1.5ミクロンマイラーはNa等の軽元素も測定するためです。組み上がった容器は蛍光X線分析装置付属のホルダに入れて測定しました。

・測定条件
分析元素範囲: 9F~92U
測定時間  : 37min.
試料スピン : OFF
試料マスク径: 20mm
測定雰囲気 : 真空

・測定結果および考察
検出元素  : Zr, Sr, Rb, Br, Zn,Cu, Ni, Fe, Mn, Cr, Ti, Ba, Ca, K, Cl, S, P,Si, Al, Mg, Na
        (RhはX線管からのスペクトルです)

測定チャートを図1-2-2に示しました。図中のブランクは試料容器のみを分析した結果 です。検出された主な重元素とNBS1646の標準値との比較を表1-2-1に示しました。

グラフイメージ
グラフイメージ
図1-2-2 河川堆積物の定性分析

表1-2-1 検出元素と NBS1646の標準値
検出元素
標準値(μg/g)
検出元素
標準値(μg/g)
Zr
----
Ni
32
Sr
----
Fe
3.35%
Rb
----
Mn
375
Br
----
Cr
76
Zn
138
Ti
0.51%
Cu
18
Ba
----
   ---- 標準値の記載なし