粉末少量試料を分析後回収する場合の定量分析
蛍光X線分析アクセサリを用いた種々の試料の分析
粉末少量試料を分析後回収する場合の定量分析
何ができるのか?
測定例
耐火物中のSiO2, Al2O3, Fe2O3, TiO2, CaO, Na2Oなど12成分の検量線を作成しました。試料量は1点あたり約30mgを粉末のまま真空雰囲気で測定しました。測定後、試料はそのまま回収しました。
・試料調整
微量粉末試料容器の試料板10mmφ用(Cat.No.RS540-10)に試料をそれぞれ約30mg秤取し,スパチュラで表面をほぼ平らにならしました。試料容器の表面はNa-Kαなど軽元素測定のために1.5μmマイラー膜を使用しました。
図1 微量粉末容器
各、標準試料の採取量は表1の通りです。
・測定条件
・測定結果および考察
検量線を図2-1~2-2,検量線の正確度を表2に示しました。
SiO2の検量線の正確度が他の元素に比べて大きな値であるのは,含有率が高くしかも検量 線範囲が狭いためにわずかな変動でも検量線上に大きく現れるためです。正確な分析を行うには計数時間を長くすることも重要ですが,加圧成形が必要と思われます。
図3 試料量と含有率比
試料採取量と分析値との関係を調べるため,JRRM121をそれぞれ12.0,25.1,29.1,31.6,43.7,50.3mg採取し,先に作成した検量 線を用いて定量分析を行いました。
29.1mgの各成分の分析値を1.000として採取量と試料量の相関を図3に示しました。
この図から採取量に最も影響を受ける成分はZrO2(△印)であり,試料量 が増加するに伴い含有率が高く分析される傾向があります。他の成分は25.1mg以上であれば分析値に大きな影響がないことがわかります。これはZr-Kαの試料に対する透過率が高いためで,今回の測定のように試料採取量 を一定にするかZr-Lαを用いれば改善されると考えられます。
・試料調整
微量粉末試料容器の試料板10mmφ用(Cat.No.RS540-10)に試料をそれぞれ約30mg秤取し,スパチュラで表面をほぼ平らにならしました。試料容器の表面はNa-Kαなど軽元素測定のために1.5μmマイラー膜を使用しました。
図1 微量粉末容器
各、標準試料の採取量は表1の通りです。
表1 分析試料の採取量
標準試料名 |
採取量 (mg) |
---|---|
JRRM121 |
29.1 |
JRRM122 |
30.1 |
JRRM123 |
29.8 |
JRRM124 |
29.6 |
JRRM125 |
30.2 |
JRRM126 |
29.4 |
・測定条件
計数時間 |
: ピーク強度;重元素 10sec. 軽元素; 10sec. |
試料スピン |
: ON |
試料マスク |
: 10mmφ |
測定雰囲気 |
: 真空 |
・測定結果および考察
検量線を図2-1~2-2,検量線の正確度を表2に示しました。
図2-1 耐火物の検量線
図2-2 耐火物の検量線
表2 検量線の正確度(σd) mass%
図2-2 耐火物の検量線
表2 検量線の正確度(σd) mass%
SiO2 |
Al2O3 |
Fe2O3 |
TiO2 |
MnO |
CaO |
|
含有率範囲 | 66.9~86.3 |
6.07~21.3 |
0.24~4.13 |
0.05~2.84 |
0.00~0.24 |
0.13~1.96 |
測定スペクトル | Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
正確度σd | 1.83 |
0.35 |
0.080 |
0.029 |
0.0019 |
0.026 |
マトリックス補正 | Al,Fe |
Fe |
Ti |
Ca |
--- |
--- |
MgO |
Na2O |
K2O |
P2O5 |
Cr2O3 |
ZrO2 |
|
含有率範囲 | 0.08~1.32 |
0.07~3.20 |
0.10~3.13 |
0.04~4.89 |
0.01~0.81 |
0.00~1.11 |
測定スペクトル | Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
Kα |
正確度σd | 0.0081 |
0.060 |
0.026 |
0.044 |
0.0023 |
0.0031 |
マトリックス補正 | --- |
--- |
--- |
--- |
Ti |
--- |
SiO2の検量線の正確度が他の元素に比べて大きな値であるのは,含有率が高くしかも検量 線範囲が狭いためにわずかな変動でも検量線上に大きく現れるためです。正確な分析を行うには計数時間を長くすることも重要ですが,加圧成形が必要と思われます。
図3 試料量と含有率比
29.1mgの各成分の分析値を1.000として採取量と試料量の相関を図3に示しました。
この図から採取量に最も影響を受ける成分はZrO2(△印)であり,試料量 が増加するに伴い含有率が高く分析される傾向があります。他の成分は25.1mg以上であれば分析値に大きな影響がないことがわかります。これはZr-Kαの試料に対する透過率が高いためで,今回の測定のように試料採取量 を一定にするかZr-Lαを用いれば改善されると考えられます。