新着情報

SiCパワーデバイス材料の結晶欠陥評価を大幅に迅速化

―X線トポグラフィの高感度化・全自動/ハイスループットを実現―

2013年12月4日

このたび、次世代パワーエレクトロニクスに用いられるシリコンカーバイド(SiC)の結晶構造・結晶欠陥の測定において大幅な性能アップ、迅速化、効率化を実現したX線トポグラフ測定装置を開発しました。これまでに、つくばイノベーションアリーナ(TIA-nano)におけるパワーエレクトロニクスの共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」において、独立行政法人産業技術総合研究所、SiCウェハー品質最適化プロジェクト参画企業と共同でSiC結晶構造、結晶欠陥の評価実証を行い、欠陥の種類の解析、欠陥の定量化、ウェハー表面・内部の欠陥の解析など多大な成果を得ることができました。本成果は2013年12月4日(水)から12月6日(金)に幕張メッセで開催されるセミコン・ジャパン2013において紹介します。

SiC(シリコン・カーバイド)は次世代パワー半導体材料として期待され、多くの半導体メーカーがその開発にしのぎを削っています。エコにつながるSiCパワー半導体の更なる普及には、SiC基板材料のコストダウンと性能向上が必須です。
SiCを使ったパワー半導体をより安くより高い性能で提供するための大きな課題は「基板の大口径化」と「転位密度の低減」と言えます。
転位密度は基板の品質を左右するもので、転位密度が高いと大電流を流すことが困難であり、信頼性も低下します。また、基板の大きさはコストに直結するため、より大口径であることが求められています。ただし直径が大きくなるほど転位密度が増える傾向にあります。
現状ではSiのような完全な結晶にすることは困難で、欠陥が前提の結晶が製造されています。SiCの特性と欠陥の種類には密接な関係があり、欠陥の種類と数を容易に判定できることが重要です。
すなわち、結晶構造・結晶欠陥評価を迅速に高精度で行うことはSiCパワー半導体の開発推進・生産性向上には不可欠です。

SiCデバイスの材料開発・品質管理においてはその結晶構造・結晶欠陥評価にX線トポグラフィイメージングが使われています。
リガクは創業以来60年間培ってきたX線技術をベースに、X線トポグラフィイメージングシステムの高感度化・自動化を実現させ、SiCを始めとしたワイドギャップ半導体プロセスにおける結晶欠陥評価作業の大幅な迅速化を実現しました。

特長は次の4点です。
  1. 結晶欠陥像の測定が数分から数10分で可能(従来は数時間)
  2. 従来、放射光でしかできなかった、転位の3次元可視化を実現
  3. 誰でも簡単に転位観測可能な画像が取得可能
  4. 転位の種類の同定とそれぞれの転位密度計測を実現
  • 従来、X線フィルムを使って数時間かけなければならなかった結晶欠陥像を数分から数10分で測定できるようになったのは、(1)リガク独自の高輝度X線源、X線多層膜レンズにより、従来より1桁以上強い高輝度平行ビームを得たこと。(2)高感度高分解能X線カメラを開発し、高精細なデジタル画像を取得できるようになったことによります。
  • 上記の高速測定により、従来放射光を用いなければできなかった、転位の3次元可視化に必要な測定を数10分から数時間で行うことが可能になりました。
  • 従来の装置によるX線フィルムを使った高分解能画像の取得は、特別なテクニックと時間を要する作業でしたが誰でも簡単に転位観測可能な画像が取得できるよう自動調整機能を実現しました。
  • 高精度デジタル画像が取得できたことにより、従来専門家が一つ一つ確認していた結晶欠陥(転位)を自動的に認識し、転位の種類ごとの転位密度計測を実現するソフトウェアを開発しました。
X線トポグラフィはこれら全自動/ハイスループットの実現により、SiCデバイス材料の研究・開発だけでなく、品質管理もルーチンで行える装置として進化したと言えます。

ここに掲載されている内容はすべて発表日現在の情報です。ご覧いただいている
時点で、予告なく変更されていることがありますので、あらかじめご了承ください。